ROOF DECKER
風に吹かれて暮らす縁側とタラップのある家
板張りの床に腰かけ、足を庭に 放り出して風に吹かれる……。最近、そんなほのぼのとした縁側文化を見ることは少なくなりました。それは、“燃える材料を外部に露出させてはいけない”という建築法のせいなのです。自然と対話をしたり、煙の出るものを焼いて食べたり、お月見や七夕を楽しんだり。そんな日本古来からの魅力を詰め込んだ場所がなくなるのは残念なことです。そこで、そんな室内外をつなぐ縁側のコンセプトを現代に蘇らせるべく、2階の『ルーフデッカー』を提案しようと思います。 軽量鉄骨のLGSパネルによる構造体では、柱も梁も心置きなく露出させることが可能です。しかもその素材はパウダーコーティングが施されているので錆びる心配もありませんし、渋い艶消しブラックの質感は、外壁の木板のナチュラル感とも相性抜群です。このルーフデッキは2階奥にあるキッチンに連結したリビング&ダイニングのような存在。そんな生活の中心となるような場所に、外から直接アクセスできる可動式のタラップ(外階段)を設けてみました。縁側からも家に入れる自由な感じが、この家の魅力です。ガレージも充実の二方向開放。側面の壁際に木デッキを設けて重層的に楽しんでください。
WORK SAMPLE
東京湾に向かって開かれたルーフデッキの爽快感を体験できる場所が、キャンプ& BBQ 施設『ワイルドビーチ木更津』です。ナチュラル感のある木製の外壁と、露出した鉄骨の素材感のマッチングは絶妙なカッコよさなのです。LGSパネルのデイトナハウスを実際に見ることができるので、一度足を運んでみてください
WILD BEACH
TEL070-3669-8480
空間のコントラストが脳細胞を元気にする楽しい暮らしの進化系
前回ご紹介した『ルーフデッカー』 は、屋根つきのルーフデッキが、外部の自然とリビング空間の新しい関係を予感させるものでした。キッチンと連続したルーフデッキで、家族の食事やくつろぎの時間などプライベ ートな用途だけでなく、親しい友達との時間を共有する場所としても最適です。それはあたかも昔の日本家屋に存在した〝土間〞や〝縁側〞のように、多目的に使用しながら外部の自 然と住居間のフィルターのような機能を果たします。今回は、その考え方をさらに発展させて、世田谷ベース増築工事でも活躍した曲面屋根『Rスパン』を活用した3階建てバージョン『ルーフデッカー #2(以後#2と表現)』をご紹介します。 この#2最大の特徴は、リビング空間の上にある豊かな吹き抜けと、その両側に位置するロフト風の居室空間のリズム感で、ガレージ上のルーフデッキ部分には少し抑えた天井、逆に室内にはドカーンと吹き抜けを設けてみました。この高低差が生む〝相乗効果〞がそれぞれの空間の特長を引き立てるのです。2階と3階が一体空間なので子供の寝室からもルーフデッキが感じられる構成。考えただけでも楽しそうで部屋に引きこもるなど無縁の空間なのです。 Rスパンは、 〝カニ〞や〝フナ虫〞のように、骨格で構築しているので、そのR曲面で剛性を確保できる優れものです。だからこの吹き抜けのロフト空間には柱や梁がなく、〝純粋な吹き抜け〞が実現出来たわけです。これは価格の点でもメリットがあるのです。外壁を断熱性のあるガルバリウムでシャープに決めた#2の価格は、坪当たり70〜75万円(設計費別途)を設定。まさに伸びやかに暮らしていきたい人に打って付けなプランです。